gallery-04 of croco studio　2017

「三国志の表紙と挿絵、描きませんか？」ある日、理論社様から突然のお電話をいただいたこの作品が、イラストレーターとしてのデビュー作になりました。いつか本の表紙を描いてみたい…とは思っていましたが、いざ引き受けてみれば分からない事だらけ。とにかく2ヶ月かけて試行錯誤した成果がこちらの「三国志（1）桃園の誓い」です。

2巻からは表紙のイラストを折り返しで使う事になり、担当さんのアイデアで顔が半分だけ見えるレイアウトに。1巻に引き続き、主人公の劉備たちの出番は無く、「中国四大美女・貂蝉と三国志最強の武人・呂布」というちょっと変わった表紙になりました。ちなみにこのシリーズの表紙は奇数巻が銀のインクの上に印刷、偶数巻が金のインクの上に印刷という仕様なので、原画と書籍の色味が変わるのが面白かったです。

三国志、3巻目ともなると作業に余裕も出てきて…なんて思ったら大間違い。調べれば調べるほどこまかい部分は分からずじまい。作者の小前先生から頂いた「考証無用」というお言葉を支えに「見た目の格好良さ」に重点を置いて描き進めました。〆切り間際に作画用のパソコンがクラッシュしてしまい、大勢の方々にご迷惑を掛けてしまったのは痛いミスでしたが、何とか出版に間に合って良かったです。

4巻の表紙ではいよいよ三国志のヒーロー「諸葛亮孔明」が登場。偶数巻ですので金のインクの上に青色のイラストは色が出るのかな…と不安でしたが、中々カッコイイ色に印刷されていて嬉しかったです。物語の方も三国志を代表する名場面が多い部分なので、挿絵共々、描いていて自然とチカラが入りました。

いよいよ三国志前半のクライマックス「赤壁の戦い」が題材の第5巻。5巻の表紙でやっと主人公の劉備が登場です。実は劉備の表情が分かるのは、この5巻だけ。赤壁の戦い当時47才だった筈の劉備ですが、せっかくなので少しだけ？若く描かせてもらいました。本では字に隠れてしまう部分に魏の国の将軍達を配置したりと、チカラの限り描き込んだ表紙になりました。

主役が表紙になりにくい三国志のシリーズ。6巻では「中山さん、何を描きたいですか？」との担当さんの質問に全力で推したのが劉備の奥さんになる「孫尚香」。いや、男ばかり並ぶと暑苦しいし、若い女の子の絵も1回ぐらいいいかなぁ、と。堅い内容のシリーズなので読者クレームとかは少し怖かったですが、意外と評判良かったとの事でホッとしました。

三国志もこのあたりから後半戦。物語では主役達が一人ずつ亡くなっていくので挿絵もついつい暗くなりがちに…。七巻は奇数巻なので銀色のインクがベースなのですが、10冊揃えた時にこの七巻だけ背表紙にも色がついていてアクセントになるのがオシャレです。表紙のテーマは蜀の国の将軍5人。オヤジ全開！の熱い表紙になりました（笑）

三国志・八巻では主役の三人が散っていきます。書籍のタイトル「復讐の東征」は主人公・劉備最後の遠征がテーマなのですが、騎馬のイラストは第十巻に使いたかったので、八巻の表紙は本文とは少し離れた平和なイラストになりました。桜が散る木の下で酒盛りをする主人公達ですが、ちょっと寂しい雰囲気も漂うイラストになりました。

主人公の三人が去って、物語は新しい世代に。三国志最後のパートの主役は、やはりこの人・諸葛亮孔明。冠や羽扇など、描くべき「記号」の多い彼はやはり見栄えがします。そんな訳で四巻に続いて、孔明の表紙となりました。イラストは死期を悟った孔明が北斗七星の下で星を見上げるシーンですが、背景の星は一つ一つ描かせてもらいました。2日ほどかかりましたが結構雰囲気出たんじゃないでしょうか（笑）

いよいよ最終巻となった三国志。足かけ3年、本当に楽しく、そして自由に描かせて頂きました。最後の表紙は十巻の為にとっておいた騎馬隊と剣の構図。挿絵の方は、登場人物が殆ど入れ替わってしまっているので構図に変化をつけつつ、最後の1枚は劉備、関羽、張飛の再登場となりました。終わってみればあっという間のお仕事でしたが、本当に楽しかったです。ありがとうございました。

カンゼンから出版されている「完全ビジュアルガイド」シリーズの三国志。150人以上の登場人物を大勢のイラストレーターで分担して描いています。こちらの本では15枚のイラストを描かせて頂きました。文官は特徴を出すのが難しいのですが、董卓、孟獲、袁昭といった三国志でも扱いの大きいキャラクターの担当もさせて頂き、精一杯描かせてもらいました。個人的には董卓と孟獲が気に入ってますが、改めてみると濃いイラストばかりです（笑）

「完全ビジュアルガイド」シリーズ、今回は中国の春秋戦国時代。三国志などと比べると圧倒的に資料が少なく、かなりの部分を想像で描くことになりましたが、この仕事の為に借りてきた中国のドラマや映画のDVDは結構面白かったです。担当するイラストに文官が多かったので変化を付けるのが大変でしたが、たぶん実際の服装より派手目に仕上げつつ、服の色を変えて仕上げました。

最近はすっかり下火になりましたが、2012年頃は携帯ゲームのオファーがたくさんありました。そんな中から三国志、水滸伝のゲームイラストをご紹介。ゲーム系は守秘義務が厳しいのでネットで発表しづらいのですが、こちらのゲームは開発途中で中止になっているはずなので多分大丈夫かと（笑）
ちなみに、ゲームは児童書と比べて「イケメン」で「武器」大きめがお約束です。